独りぼっち


彼は血が好きみたいだ。

俺の血を見て、それを舐めて、味わって、興奮している。

その他にも、生き物の悲鳴とか、生き物が痛みに耐えてる姿とか、好きらしい。

だから、俺はその道具としてしか見られていない。性処理道具。

でもいいんだ、自分という人間が否定されないだけ、幸せなんだと思う。


「他人が不幸になった方が幸せ。」

彼は当たり前のように、そう言った。

もちろんそんな言葉、周りからは煙たがられる対象となった。

皆んな彼を嫌な目で見る。

あいつ、嫌なやつだって。

彼は、間違ってるって。

でも俺は、そうは思わなかった。

きっと、誰だってそんなこと思ったり、一度でも世の中や人生をクソだと思ったりするはずだ。

誰もが思う事なのに、皆否定するんだ。

そんな事思った事もない、そんな考えは突拍子もないとでも言うように。


皆んな、嘘つきだ。

誰もが、幸せをアピールする。

等身大より大きくなろうとする。

正論の中だけで生きようとする。

自分を偽ってまで、そうするのだ。


だから、僕は彼の言葉に心を打たれた。

彼は、強いと思った。

だから、独りぼっちなんだ。

凄く、寂しいのだ。


どうして誰も気づいてあげられないのだろう。

彼は、孤独なのに。

最も人間らしいのに。

いつも1人で戦ってる。

だから、支えてあげたい。

力になりたいのだ。


ありのままでいてほしいから。