好き



ねぇ 覚えてるかな

あの時の景色と あの時の空の色 あの時の空気の匂い

隣にはいつも君がいた

君は何していても 凄くつまんなそうだった

生きてても死んでてても同じ事だって

いつも言ってた


ねぇ 覚えてるかな

君は毎日 猫を殺していた

内臓を抉り取っては 笑っていて

あの時いつも君は 笑顔だった

でも俺は知ってた

誰よりも 繊細で 真面目すぎる君は

何よりも誰よりも 優しい人だって事


学校では虫けらの様な扱いを受けてたね

皆んな君をオモチャのようにして遊んでたね

何であんな酷い事するんだろうね

俺にとって君は こんなにも愛おしいくて

いつも遠くにいるのに

俺は そんな酷い事やってなかった

でも君は 俺の事

オモチャにして 遊んでたね


君にとって俺の血は 美味しかったのかな

俺の泣き叫んでる姿 面白かったのかな

俺にトイレに顔突っ込ませて 足で顔を押し付けるの

楽しかったのかな

俺はね 何されてもずっと 笑ってた

だって 君が好きだったから

だから 何をやっても死ねないの

だから どんなに酷いことされても

必死に耐えてきた


君に振り向いて欲しくて

君に必要とされたくて

少しでも 一緒に同じ時を過ごしたかったから


馬鹿だよね

本当に馬鹿だよね

俺より惨めな人間なんて この世に居ないんじゃないかな

心の何処かではおかしいって思ってた

でもやっぱり 君の事が好きだったから

そんなことどうでも良かったんだ


俺の身体の傷は 君がつけたもの

だから 二度と忘れない

俺は 幸せだよ


ねぇ 覚えてるかな

君は泣いていた

僕は化け物だって言っていた

生きているだけで 周りの人を不幸にすると言っていた

生きることになんて興味がないって言っていた

人が一人死んだってどうでもいいと言っていた

きっと俺が死んでも君は

何とも思わないのかな


せめて少しだけ 悲しんでくれたら

それだけで俺はね 生きててよかったってそう

思える

君の中で俺は 生きていたのかな

今でも存在 しているかな

だったらもう 悔いはない

今まで ありがとう


さようなら