君
あの時の君の顔を忘れない
どこかずっと遠い遥向こう側を見ているように感じた
君という存在が不思議でならなかった
桜の花びらに霞む君の横顔を見て
どこか、僕には踏み込めないようなところに君はいるのだと思った
きっと僕には理解できない
生きてるうちには少なくとも、理解できない
君という存在を理解できない
僕だけでなく、誰も入らないようなところに君は1人、立っていた
だから、僕もそこへ行きたかった
僕も、そこへ行ける資格のある人間でありたかった、でも
神様、いや君は、そんなに優しくはなくて
君は今日も1人で居た
寂しかった
僕は寂しかった
君を知りたかった
1人でどこを見てるか、何を考えてるかわからない君を、僕は知りたかった
君をもっともっともっと僕は………
目が覚めた
そうか、またこの夢を見た
夢の中で僕の昔の感情が疼いていた
起きたら、あちらこちら、傷跡があった
打撲、青痣、切り傷、擦り傷、根性焼き、、、
僕は僕自身を抱きしめた
そうか、これが、これが今の自分か……
これでも、僕は望みが叶ったんだ
何も怖くない
それは、あの時の君が、僕に残してくれた印だから