秘密の花園


ここはね、秘密の花園。黄昏時に現れる幻のような場所。君もここにいるって事は…そういう事なんだね。

ここは、大人は見つける事が出来ない。子供も見つける事が出来ない。僕たちみたいな、そう…どっちにも属する事が出来ない人が行くことが出来るんだ。

きっと僕たちみたいな人は現実に居場所がなくて、心の行き場がなくて、ひたすら、寂しくて、ひとりぼっちなんだ。

だから、真似事をする。器用に生きてる人のような、愛される方法。愛する方法。


あのね、秘密の花園には法律が存在しないんだ。黄昏の時間、その時間帯だけ、僕たちは解放される。多分、世界中でここだけ。何してもいいんだよ。思う存分喚いたり、嘆いたり、泣いたり。同性とセックスしたり、ドラッグ吸ったり。現実世界で制限されてることは何でも出来る。勿論、人を殴ってもいいし、ひっそりジサツしてもいい。人間を殺してもいい。だからね、禁断なんだ。

禁断だからね、…ずっとそこにはいてはいけないんだ。太陽は待ってくれないし。いわゆる『オトナ』になれなくて、ここから出られなくなっちゃう人もいる。そういう人たちはね、どうなると思う?

……食べられちゃうんだよ、怪物にね。


そうして、怪物はまた夜の世界へ帰っていくのさ。