共犯



僕は君の身体に傷をつけた

沢山の傷をつけた時

君はにっこり笑って力無く

「共犯だから」

という


それを聞いて僕はいつもゾクっとする

また何度でも虐めたくなる自分がいる

全部君が悪いんだ


カッターナイフで君の身体に傷を切り刻んでる時

ひたすら苦しそうに涙を流しながら叫び声をあげる君

でも、それを押し殺そうと必死でぐちゃぐちゃになってる君

それでも決して「やめて」とは言わないんだ

僕は興奮してアドレナリンが止まらなくなる


君が辛そうで、面白いから


終わった後、君は僕の横でぐったりなるんだ

君はいつだって僕に縋っている


もう僕なしじゃ生きられないってね



僕の身体



不自然に綺麗に並ぶ僕の腕の傷跡

今日も彼に会うんだから

身だしなみはちゃんとしなきゃ、ね


君を求めれば求めるほど

腕の傷跡は増えていくよ

「i miss you」

心と腕に刻みつけるんだ


君は僕を優しく嗜んで

そして冷たく突き放す

そんな彼に僕は虜になる

嫌われたくない、見放されたくない

その為ならなんだって我慢できる


だってそれは彼からもらった傷だから


まるで麻薬を吸ってるみたいなんだ

彼に支配された僕の身体と心

全て彼で満たされてる

だからもうどこにも行かないで

あなたが消えてしまったら

心の穴が大きすぎて

どう生きていけばいいか分からないよ

だから、今より沢山、傷つけて

めちゃくちゃにして、ぐちゃぐちゃにして

切り刻んで




君に触れて



私は教科書を黒く塗りつぶした


そして、逃げる

現実から、世の中から、世界から

今まで築き上げてきた私の道理が邪魔をする


愛なんちゃ求めてない

お金なんか求めてない


あなたと私は体だけの関係

肌と肌が触れ合うたび傷が増えていく

もどかしいのか、心がチクチクする

でもそれでもまだ傷を付けていくよ


その場だけの感情が、確かなもの

暖かい湿った肌が重なる

温もりを感じる

生きてていいのかなって思える

毎日襲って来る虚無感にこの瞬間は耐えられる


悲しかった

まだ自分の中で正直な感情が残っていたから

重ねていく罪

消えない傷

何処かで報われないかって期待しちゃうけど

でもそんなことないって分かってる


あなたの声に愛着を覚えそうになる

だから、せめてその心は奥にしまっておく

もう二度と取り出せないように

あなたと会うのは最後にする


さようなら

さようなら





虐められている自分に酔っていた…?

自分を傷つけて酔い痴れていた…?

どれも少しずつ違う気がする、けど

……けど


私は少しだけでも、生きている価値があったのだろうか

彼は、こんな化け物の私を、普通の女の子として扱ってくれた

空を眺めても、空だと気づかせてくれた

花を眺めても、花だと気づかせてくれた

これは、全部彼がくれたものだ

いつも1人だった気がしていた

孤独だった気がした

でも、そうじゃないって、彼は教えてくれた


何処かで人間を捨てきれない自分がいた

何処かで人間の感情がまだ残っていた

だから、まだ諦めることが出来なかった

でも、もういいよね…

私は救われない

もう分かってるから


せめて最後は、彼のそばに居たかった

でも、迷惑かけたくないから


ありがとう


オレンジ




「死にたかったの?」
私は彼にそう尋ねた。

「違うよ。」
彼は、少し考えてからそう言った。

「なんだ、私と一緒かと思った、でも私も、死にたくて腕切ってるわけじゃない、かもしれない。」
私は頭の中で色々考えながら答えた。

「でも、私とあなたは違いそうね。」

私はそう言った。

放課後という時間はこうにも奇妙だ。
起こるはずのないことが起こったり、学校内で行われる学校外の時間というのは、やはり不思議だ。
太陽も西に傾いている。風が廊下の窓へと続く。
教室から感じる放課後というものは、一つの違う時空に飛んでるような錯覚に陥る。

だから普段会話しない彼と今喋ってるのかもしれない。

私は家に帰りたくなくて、仕方なく教室に残っていたら、作業をしている委員長の彼も居残っていて、そこで私も彼の作業を手伝っている。

こんな事、聞いていいのか分からないけど…
沈黙の中、私は溢れるように呟いた。
「なんで、切ってるの?」
「あ、別に話したくなきゃいいんだけど…」
「でも、あなたが切ってるのは凄く、なんというか、不思議で、意外というか。」
「私も切ってるから、何か分かることがあるかも、とか、」
「あ、なんか、1人で喋ってた。ごめん。」

大丈夫だよ、と彼は笑った。

またこれだ、彼はいつも笑う。
彼はいつもニコニコしてるイメージがある。
一見、なんの違和感もなく、この人は温かい人なのかなって思ったりする、でもよく観察すると
そこに陰や闇が潜んでいる、気がするのだ
分かる人にしか分からないような。

笑ってる数ほど、その闇は大きく底がなく深い。
その闇が紛れもなく隠れていることが怖く感じる。
彼からはその妙な陰を感じる。
だから、腕の傷を見た時一瞬びっくりはしたが、どこか心の奥で納得している自分もいた。やっぱり、というような…
でも、そうはいってもやはり違和感でしかない。
それだからか、彼の笑顔はどことなく残酷に感じる。残酷で華麗で、暖かくて…
こんなに笑顔が似合う人は他にいないだろう。

彼の顔を見ながら考え事をしていたそうで、彼が不思議そうな顔でこっちを見て来た。
「あ、ごめん、私、ボーッとしてたみたい。」
慌てて私はそう、答えた。

「俺ね…。」
彼からそう、切り出した。
「君みたいに、死にたいわけでも生きたいわけでもないんだ。」
「自分って、凄く中途半端で。何処にいても、そこには存在させてくれないような気がして。」

何を言っているんだか、私にはよく分からない。

「彼は、傷は俺の象徴だと言った。何と無く分かるようなそうでないような…」
「今まで存在している事を自覚出来なかった。でも、彼に出会ってから、自分は彼のために存在してるんだと思えるようになった。だから、この傷は、その証なのかもしれない。」

彼、とは誰なのか…この人は何を言っているのだろうか…
私はキョトンとしてしまった。

「つまりね、俺も君と同じかもしれない。そうでないかもしれない。はは。」

また、彼は温かい笑みを浮かべた。
なんだろう。この笑顔を見ると何処か安心できる。

「私もね、そう思う。」

私も笑顔で答えた。

何も分からなかった。でも、何処か安心出来るような、何か細い糸で繋がっているようにも感じた。
それだけで、心は満たされた。

なんだ、これで心が満たされるのなら、私は腕を切らなくてもいいのかもしれない。
でも、やっぱり、難しいな。
今日、彼と話せてよかった。

太陽は2人きりの教室をますますオレンジに染めた。



手当たり次第人を殺そうと思った。


笑顔で、殺そうと思った。


つまらない毎日、生きる希望も見つからない。僕は、こんな毎日に老けてたんだ。

失踪事件、テロ事件、殺人事件、めくるめく起こる政。

泣きわめく街の中1人、僕は佇んでいた。

くだらない、とわきまえても本当はどこかで興奮してた、何かが起きる事。


きっと僕はつまらない、つまらない人間なんだ。でも、こんなところで終わらなくて


朝ママに行ってきますを言った後

ナイフを持ちながら街をふらふら出歩いた


街は変わってない気がした

色んなことが巡り巡ってるのに、建物はどんどん新しくなっていくのに

僕も変わっていない気がした、それに答えるように

これからもそうであって欲しかった


街中を歩くそして

僕は、ナイフを突き刺した



そう、これでいい、これでいいんだ

入っては行けないボーダーラインが段々とあやふやになってきだところで僕は、手を止めた


女の人の悲鳴

逃げる人

誰も僕に近づこうとしなかった

僕は立ち上がり移動しようとすると、たちまち周りの人は僕を避けた



僕は、僕は今初めて、生きてる気がした

ここに、初めて自分を見つけた

今まで朝起きること、ご飯を食べること、学校に行くこと、誰かと話すこと、授業を受けること、寝ること、何もかも、僕は生を感じることはできなかった


別に、それで一生を終えても構わないとどこかでは思っていたけど

僕は今、やっと、ここに自分を見つけた

これで、これでいいんだ



その後僕は、自分のお腹にナイフを突き刺した


そのあとは、そのあとは……



覚えていない


でも、僕の心は満たされた

僕は

僕は

幸せだ






あの時の君の顔を忘れない

どこかずっと遠い遥向こう側を見ているように感じた

君という存在が不思議でならなかった


桜の花びらに霞む君の横顔を見て

どこか、僕には踏み込めないようなところに君はいるのだと思った


きっと僕には理解できない

生きてるうちには少なくとも、理解できない

君という存在を理解できない



僕だけでなく、誰も入らないようなところに君は1人、立っていた

だから、僕もそこへ行きたかった

僕も、そこへ行ける資格のある人間でありたかった、でも

神様、いや君は、そんなに優しくはなくて


君は今日も1人で居た



寂しかった

僕は寂しかった

君を知りたかった

1人でどこを見てるか、何を考えてるかわからない君を、僕は知りたかった



君をもっともっともっと僕は………





目が覚めた


そうか、またこの夢を見た

夢の中で僕の昔の感情が疼いていた



起きたら、あちらこちら、傷跡があった

打撲、青痣、切り傷、擦り傷、根性焼き、、、


僕は僕自身を抱きしめた

そうか、これが、これが今の自分か……


これでも、僕は望みが叶ったんだ

何も怖くない




それは、あの時の君が、僕に残してくれた印だから