2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

分かち合う

情を入れてはいけない。これは、ルールだ。汚れなきふたりが、ギリギリの関係を保っていくための、ルール。認められようと考えた瞬間そのふたりの世界は滅んでしまう。でも人間なら誰しも、生きていくために誰かに認められたいと思うのは、生理的な現象であ…

独りぼっち

彼は血が好きみたいだ。俺の血を見て、それを舐めて、味わって、興奮している。その他にも、生き物の悲鳴とか、生き物が痛みに耐えてる姿とか、好きらしい。だから、俺はその道具としてしか見られていない。性処理道具。でもいいんだ、自分という人間が否定…

よわむし。

僕は、いい奴にもわるい奴にもなれなかった。ただの「弱いやつ」でしかなかったのだ。無力で無価値でしかもすぐいい気になる。余計な感情は、虫より頭も悪い。そんな僕には「弱虫」という言葉がお似合いだ。虫、虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫虫。今日もこ…

ひとひら

僕の目の前に一枚、桜の花びらがぴらぴらと回転しながら美しく舞い落ちた。僕は突然、どうしようもなく胸が苦しくなった。苦しくて、途方に暮れた。僕は、生きてる幸せを感じたかった。噛み締めたかった。それだけなのに、それだけなのに。何でこんなに、苦…

水色。

水色。水色。水色。桃色が霞む、淡い水色。何処を歩いても、どの建物に入っても、その水色はいつ何時、オーロラのように浮遊している。溢れる水玉はプカプカと、弾けることもなく上へ上へ湧き上がる。全てが最初に戻る。全部全部、新しくて新鮮。水色。それ…