好きになること
何かを好きになる、誰かを好きになるって
病気という部屋と薄い壁一枚の隣同士の部屋なのかもしれない
そのくらいスレスレのところで生きてる
理性が効かなくなる
気持ちを抑えられなくなる
自分が自分で無くなる
もはや、自分なんかどうでも良くなる
死ぬ、という次元を超えてしまう
つまり、死ぬのすら怖くなくなる
「好き」というのは恐ろしいのかもしれない
誰かのためでなく
自分の為だけに、自分の身を投げる
好きになることは、病気なのですか
いけないことなのですか
でも出来るだけ
好きになることは避けたいと思った
面倒臭いから
あぁ、少しだけ歳をとったのだと
そう思った
小さい器
これは、神様から授かった、ガラスの器
有り難く大切にしていたけれど
そのうち、その器の小ささに気づかざる終えなくなった
あまりに小さいので
その器からみるみる色んなものが溢れ出る
いいな
あの子の器は大きくて頑丈で
あの大きさだったら全てのものを受け入れられる
私の器は、すぐにこぼれる
入りきらなくて、よく割れる
辛い、辛いよ
私だって、あの子のように大きくて頑丈な器だったら
もっと色んな人を受け入れられたかもしれない
理不尽な世の中に文句なんか言わなくて済んだのかもしれない
だって、私の器はすぐ壊れちゃうもの
また1からパーツをつける作業もしんどくて
治す事だけで、精神的にも疲れちゃうんだ
こんなのは酷い、許せない
何故私の器はこんなに小さいの
あの子ばっかり
あの人ばっかり
あの綺麗な女の子
頑張ってる男の子
みんなみんな、優しいんだ
だって、器が大きいから
みんなのその、余裕はなんだい?
みんなのその、笑顔はなんだい?
みんなを恨むしか方法のないこの私を見て
そんなに楽しいのかい?
だったら、何もかも捨てて
死んでやろうじゃないか
私は器を投げ捨てる
パリーーンと
器の破片が粉々に冷たい地面の上で散った
なんでいちいちこんなことしなくてはならないの
私は、弱い人間なのですか
神様から授かった器すら大切に出来ないなんて
器の破片を片手に
私は、自分の腕を斬りつける
力を入れて、手前にスッとひっぱる
神様、私は
いけない子なんですか
悪い子なんですか
自分の器のせいにしか出来なくて、逃げてばかりの弱い子なんですか
生まれた時から、それは定めだったのですか
夏の思い出
Ω
ごめんね。
ごめんね。
凄くわがままだよね
いけないことしてるよね
ごめんね。
分かってる 分かってるんだ
ごめんね。ごめんね。ごめんね。
だって君は あの人に似てる
素朴な黒の瞳 綺麗な黒の髪色
ごめんね。
強引でごめんね。
嫌なやつでごめんね。
君の全てを奪ってごめんね。
でも 一度ぐらい俺も幸せになりたい
幸せにさせて
いいよね、いいよね、いいよね
服を脱いで 君を感じさせて
君と一つになりたい
ごめんね。
もうほら 手が止まらないの
君を求めるあまり 俺の手が君の全てを剥ぎ取るの
ごめんね。
こんな親で
ごめんね。
好き
ねぇ 覚えてるかな
あの時の景色と あの時の空の色 あの時の空気の匂い
隣にはいつも君がいた
君は何していても 凄くつまんなそうだった
生きてても死んでてても同じ事だって
いつも言ってた
ねぇ 覚えてるかな
君は毎日 猫を殺していた
内臓を抉り取っては 笑っていて
あの時いつも君は 笑顔だった
でも俺は知ってた
誰よりも 繊細で 真面目すぎる君は
何よりも誰よりも 優しい人だって事
学校では虫けらの様な扱いを受けてたね
皆んな君をオモチャのようにして遊んでたね
何であんな酷い事するんだろうね
俺にとって君は こんなにも愛おしいくて
いつも遠くにいるのに
俺は そんな酷い事やってなかった
でも君は 俺の事
オモチャにして 遊んでたね
君にとって俺の血は 美味しかったのかな
俺の泣き叫んでる姿 面白かったのかな
俺にトイレに顔突っ込ませて 足で顔を押し付けるの
楽しかったのかな
俺はね 何されてもずっと 笑ってた
だって 君が好きだったから
だから 何をやっても死ねないの
だから どんなに酷いことされても
必死に耐えてきた
君に振り向いて欲しくて
君に必要とされたくて
少しでも 一緒に同じ時を過ごしたかったから
馬鹿だよね
本当に馬鹿だよね
俺より惨めな人間なんて この世に居ないんじゃないかな
心の何処かではおかしいって思ってた
でもやっぱり 君の事が好きだったから
そんなことどうでも良かったんだ
俺の身体の傷は 君がつけたもの
だから 二度と忘れない
俺は 幸せだよ
ねぇ 覚えてるかな
君は泣いていた
僕は化け物だって言っていた
生きているだけで 周りの人を不幸にすると言っていた
生きることになんて興味がないって言っていた
人が一人死んだってどうでもいいと言っていた
きっと俺が死んでも君は
何とも思わないのかな
せめて少しだけ 悲しんでくれたら
それだけで俺はね 生きててよかったってそう
思える
君の中で俺は 生きていたのかな
今でも存在 しているかな
だったらもう 悔いはない
今まで ありがとう
さようなら
一輪の花
僕は、一回だけ水をやる
そいつは、嬉しそうに自然の恵みを受け取った。もう何も要らないかのような幸せを感じている
そうか、なら
もう水は要らないよね
僕はもう水をやらないで、そいつを見つめた
そいつは力無さそうに、どんどん萎れていく
水が欲しいかい
でもね、あげない
もっともっと苦しんで息ができなくなるくらい喉が乾くまで、僕はあげない
もっともっと、もっともっともっと、僕を求めて、僕を感じてくれるまで水はあげないよ
だから、僕の心を満たしておくれよ
死ぬ気で僕を存分に楽しませておくれよ
良い子に従ってくれたらさ、冷たくて澄んだ美味しい水、あげるから
でもねもし、僕の事嫌いになったら
殺す
殺して串刺しにして食べる
僕はね、いつでも君の事殺せるんだ
どんなやり方でも、どんなに残酷にも出来ちゃうんだ
だからね、そうならないように僕は、四六時中君を見つめてる
君が何を見て何を感じているのか、ずっと見つめているんだ
美しく咲く君を
枯れても散っても美しい君を、僕はこの手で
ぐちゃぐちゃにしてあげる